日別アーカイブ: 2015年7月28日
目立たないように直す
少々変わった依頼品が完成しましたので、ご紹介致します。
本来日本の修復は蒔絵技法の応用ですので、修復箇所がはっきり
わかるのが本分です。
ご紹介する依頼品は、ポーセリンアートの参考とするべく購入された
アンティークの品です。
実使用はしないということでしたので、修復箇所を目立たせないことを
最優先して作業しました。
お皿の全景です。
画像の12時方向が修復箇所です。
欠けからニュウが入っています。
表面の修復箇所の拡大です。
金彩の入った縁が三角形に欠け、そこからニュウがのびています。
欠け部は金彩に合うもので仕上げ、目立ちにくくしています。
ニュウは閉じてありますが、目立ちませんので、あえて仕上げをして
いません。
裏面です。
表の欠けに比べて、裏面は複雑な形に欠けていました。
実は作業時間の大半が、この欠けを埋めることに費やしています。
金繕いは臨機応変。
ご要望に応じて最適な方法で直すのも、繕いの醍醐味です。
西洋骨董の優品を拝見出来たことも、よい経験になりました。
※ニュウとは
軽症のヒビのこと。表面に欠損を生じていないもの。
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