月別アーカイブ: 2015年4月
急須の蓋のつまみ
今期の傾向として、他の先生に習っていた方が学び直したいと
お出でになっていると先般のブログに書きました。
その中で特にご要望が多いのが、補強を伴うものです。
代表例は急須の蓋のつまみです。
急須は使用頻度が高いですし、つまみは突出部でもあります。
その結果破損するのは、とても多いです。
小さい面積で自重を支える、熱が加わる、洗いの作業に耐えるなど
使用環境がハードなことから、単に接着しただけでは持ちません。
これは本漆がいかに史上最強の塗料と言っても、生じる現象です。
そこで2重3重の補強をして頂くのをオススメしています。
金繕いは優雅な作業をすると思っておられた方には、少々イメージが違う
作業をして頂きます。
しかし完成後は安心してお使い頂けますので、どうぞ根気よくおつき合い
下さい。
工房スペース 設え中
藤那海工房 金繕い教室ですが、あいかわらずダイニングテーブルで
行っています。
これは引っ越してみて、想像以上に道具や素材、教材を持っており、
それの収納に苦心しているからなのです。
先週末、収納の棚を買い足して荷物を整理しました。
実は画像に写っていない手前にお見せ出来ない山があるのですが、窓際は
少々スッキリしました。
今後作業テーブルを用意したり、謎の山を片付けたりと、まだまだ工房と
して稼動するのは先になりそうです。
藤那海工房 お休みのお知らせ2015.5
藤那海工房のお休みを、お知らせ致します。
5月22日の第4金曜日のクラスですが、私の都合でお休みとさせて
頂きます。
金繕い教室へのご参加をご検討の方々、ご了承のほど、よろしく
お願い致します。
なお藤那海工房 金繕い教室ですが、現在お問い合わせがある方々から
お申し込みが入りますと、満席になる教室が出る予定です。
ご検討中の方は、お早めにお問い合わせ下さいますようお願い致します。
かっぱ河太郎
かっぱ橋に、買い出しに出かけました。
かっぱ橋は以前にもレポートしていますが、今回は初出のご紹介で。
平成15年に、合羽橋道具街誕生90年を記念して作られた河童の
シンボル像です。
合羽橋近くの新堀川などの掘割工事を、河童が手伝ったという言い伝えを
もとに作られたのだそうです。
ビルの谷間にひっそり…とは言えないですね。
金ピカが、まばゆいです。
皿貝を食す
皿貝を入手しました。
皿貝は白貝とも呼ばれ、マルスダレガイ目ニッコウガイ科の2枚貝です。
市場にはアラスジサラガイ、ベニザラガイ、サラガイの3種が入りますが、
全て皿貝として扱われます。
貝を使いたいので、この道具を使って貝柱を切り、むき身にしました。
今回はワイン蒸しにしてみました。
クセのない淡白で、上品な味です。
なので色々な調理法が楽しめそうです。
表は白い皿貝ですが、内側が美しいピンクをしています。
現在、この貝で講座の企画が複数進行中です。
お知らせ出来る状況になりましたら、ブログにアップします。
ボッティチェリとルネサンス展
現在渋谷•Bunkamuraミュージアムで開催されている「ボッティチェリと
ルネサンス」展に行ってきました。
ボッティチェリというと「ヴィーナスの誕生」が有名ですが、今回の
展覧会は副題に「フィレンチェの富と美」とあるように、ルネサンスの
原動力となった銀行•金融業と近代のメセナ活動の誕生をボッティチェリの
名品とからめて紹介しています。
この時代の絵画は、テンペラと呼ばれる顔料を卵白で溶いて細筆で細い線を
重ねて描く技法や、フレスコというしっくいが乾く前に顔料を水で溶き、
描いていく特殊な技法が行われていました。
上の画像はフレスコ画の「受胎告知」です。
フレスコ画は、その日描く分だけしっくいを塗り、描き直しも出来ない難しい
技法です。
それでこれだけのものを完成させるというのは、相当の技量がなければならない
というのがわかります。
展示されている他の画家と比べると、やはりボッティチェリは、その優美さと
清麗さが抜きん出ています。
このように技法の難しさ、時代背景を理解した上で見ると、西洋美術を勉強
してきたつもりになっていたことに気がつきました。
これからは新たな目で見ていきたいと思います。
トクサの新芽2015
桜があっという間に満開になりました。
それと時期を同じくして、我が家のトクサも新芽が出始めました。
手前や奥に見えている白化しているのは、去年の芽です。
刈り取ってしまったあとは、このように枯れて白化します。
画像にあるように、新芽は全く新しいところに出てくるのです。
トクサは虫害もなく丈夫な植物ですが、枯れる一番の要因は渇水です。
あくまでもシダ植物なので、夏場の水やりは必須です。
適度な日当りは必要ですが、夏場の直射日光には耐えられないので、
庭に植える場合は場所を選んで下さい。
春に出たばかりの新芽は、道具にするには柔らか過ぎます。
秋〜冬まで待って下さい。
なお苗は初夏に入手しやすくなります。
苗が欲しい方は、この時期に園芸店に相談してみましょう。
そのままでも
先般縁の欠けが点々とたくさんある場合は、口紅様にまとめてしまう
手段があるとご紹介致しました。
今回ご紹介するNHK学園市川オープンスクールのTさんの作品は、その
まま直された例です。
Tさんは、まとめて直すべきだったのではないかと悩まれておられました。
しかしグレーがかった釉薬に銀泥がマッチしているので、たくさんの欠けが
目立たないと思います。
ですのでこのままでもよろしいのではないかとお勧め致しました。
強いて言えばもう少し銀泥の色が落ち着いた変化をしたところで、硫化止めを
されればより効果的かと思います。
この湯のみは日常使いとして頻繁に使われるものだそうです。
であれば仕上げたものをお使い頂き、仕上げの状態が変化したところで
また違う方法で仕上げ直すという考え方も出来ます。
欠損部を修復する方法については、厳密にお守り頂きたい内容がありますが、
仕上げに関してはご自身のお考えでなさって構いません。
自由な発想で、ご自分の器の姿をお決め下さい。
明日館 建築デザイン
昨日に引き続き自由学園 明日館についてお送り致します。
本日は予告通り、建築デザインについてです。
内部の見所は、やはり食堂でしょう。
後年、弟子の遠藤新によって増築がされていますが、低く天井高が
抑えられた1階廊下から上がってきて、より開放感を感じるように
演出されています。
特徴的なのが、天井吊り下げられた照明器具です。
テーブルに着席した子供達との高さのバランスをみて、即座にデザインした
ものだとか。
ライトは、暖炉を人が集まる場所として大切にしました。
明日館は重要文化財ですので火気厳禁ですが、特に許可を得て暖炉に
火を入れるイベントがあるそうです。
ライトのデザインの特徴として、日本からの影響、幾何学文様が
あげられます。
行灯を思わせる照明。
違い棚のようなデザインの天井照明。
扉の上のデザイン。
屋根裏の換気口。
これらのデザインは、単に意匠というだけではなく、コストを
押さえるためでもあったのだそうです。
そしてそれが安価な材料を使っていても、安っぽく見せないという
のが素晴らしいところです。
桜だけでなく、デザインの力というものを見せてもらった見学会
となりました。
明日館の桜2015
自由学園 明日館は、建築の巨匠フランク•ロイド•ライトの設計の
建物で、洋館好きとしては一度は訪れたいと思っていた場所でした。
それが今回、桜見学会のイベントにお誘い頂く機会を得ました。
道路から桜越しの明日館です。
ライトアップされた桜と、明日館の取り合わせは本当に美しかった
です。
桜は、ソメイヨシノ3本と大島桜(手前から2本目)の計4本です。
わずか4本、されど4本。
この敷地に建物とのバランスを考えると、4本の桜がベストマッチです。
ホール内部から桜の臨んだところです。
明日館を象徴するライト設計の窓と桜のコラボレーション。
この日のメインイベントです。
一般には入れない事務所に入れて頂き、内部の照明を消して撮影させて
頂きました。
窓越しに見える夜桜は妖艶という言葉がぴったりでした。
次の機会には、ライト建築のデザインをご紹介したいと思います。