ハマグリ貝には、その貝が生育してきた歴史が刻まれていると
以前のブログに書きました。
稚貝として放流された時期や、ツメタガイとの戦いなど、貝の
表面に現れているのです。
画像の貝は「カニ」に襲われたものと思われます。
これは貝の両方の同じ位置にキズがあるところから、カニと分かる
のです。
つまりカニのはさみで挟まれたあとという訳です。
近年関東地方の外洋では、ジョレンという金属製の熊手のようなもので
ハマグリの取るようになり、表面に深いキズのついた貝が多くなって
しまいました。
貝合せの制作では、なるべく貝表面がきれいなものを入手したいところ
ですが、なかなか難しいようです。
日本の古典文学には、お姫様がキズのある貝を愛でたという一文があるそう
です。
貝合せの遊びは、表面を見て神経衰弱のように合うものを探す遊びですので、
キズがあると目印になります。
それをお姫様は愛でたのです。
カニによるキズであれ、ジョレンによるキズであれ、いにしえのお姫様のように
その貝の歴史を思って愛でるというのもよろしいのではないでしょうか?