月別アーカイブ: 2015年2月
はまぐり貝の購入 2015.春
カリキュラムの「貝合せ」では、ご自分ではまぐり貝を召し上がって
頂いた貝を磨いてから、金箔を貼るという作業に取り組んで頂いて
います。
はまぐり貝が市場に出回るのは季節があり、3月のひなまつりまでが
大きいサイズが手に入りやすいと、度々このブログでもお知らせしてきました。
たまたま近隣のスーパーで大きなサイズの貝が販売されていました。
このようにパックされてしまっていると、貝の状態が確認出来ません。
大抵綺麗な面が表に出ていて、裏側がガッカリするくらいキズがついていた
となります。
少々アヤシイ人物になってしまいましたが、出来る範囲で表面の様子を確認し、
色柄が好みのものを購入しました。
中味はおいしく食べました。
蝶番の部分は無理に外さず、このまま水に1ヶ月漬け込んだら、磨く
準備が出来ます。
なかなか綺麗な色柄なので、磨くのが楽しみです。
昨年10月以降に受講を始めた方は、貝合せのカリキュラムはまだまだ先の
ことになりますが、入手しやすいこの時を狙って購入されておくのを
オススメ致します。
同じ時期に受講を始めた方が全員磨き終わったところで、金箔を貼る
日程を決定します。
初めて貝を磨く方ばかりですので、想像以上に時間がかかります。
余裕を持って臨まれるためにも早めのご準備をお願い致します。
春のきざし2015
春の訪れを感じるものを撮影してきました。
梅です。
メジロがいるのが、また風情でした。
こちらは十月桜。
10月から4月まで、冬をはさんで開花期があるので「冬桜」ともいう
そうです。
ソメイヨシノはまだまだ蕾。
こちらが咲くのが待ち遠しいですね。
はさみ
金繕いに使える「はさみ」を紹介して欲しいというリクエストが
ありました。
金繕いに限らず、工芸全般に使えるはさみをご紹介致します。
ARS(アルス)というメーカーの「クラフトチョキ」というものです。
紙ばかりでなく、プラスチックや金属なども切れます。
サクッと切れる感触は、気持ちがよいくらいです。
ブログに載せるに当たってARSのホームページを確認したところ、これは
元々盆栽鋏として開発されたものだということがわかりました。
グリップの形がどこかで見たような気がしていたのですが、花鋏と同じ
だからだったのですね。
私が実際使っているのは、「ロングアーム」というタイプです。
刃とグリップの間の長さが長いのが特徴です。
この長さのおかげで力がなくても切れるというので選んだものですが、一般の
タイプで十分だと思います。
いろいろ切れるDIY用はさみをお探しでしたら、「クラフトチョキ」を検討の
一つに加えてみて下さい。
無事完成
よみうりカルチャーセンター大宮教室のSさんの作品を
ご紹介致します。
いくつか欠けとヒビがあったものを、金泥で仕上げられました。
表の黒い釉薬には金泥が映えますし、内側のベージュ色の釉薬には
程よく馴染んでいます。
Sさんの作品は度々ご紹介しているのですが、とても作業が丁寧な方で、
今回の作品もとても綺麗に仕上げられています。
器の感じと転々と直されている様子がとても合っているのも、魅力的な
ところです。
この器はご友人のものなのだそうで、お返しするものです。
下準備で思わぬ状況になって一時はびっくりされましたが、この仕上がり
でしたら、きっと喜ばれると思います。
以前のブログに書きましたように、ご友人ご親戚からの依頼は積極的に
お受けになるのをお勧め致します。
自分のものですと全ての作業が甘くなる傾向がありますが、請け負ったものは
そうは行きません。
責任感から手順もしっかり確認されますし、より高い完成度となります。
ご自分の腕が上がりますので、恐れ多いなどとおっしゃらず、お引き受けに
なって下さい。
馴染む金泥
NHK文化センター柏教室のNさんの作品をご紹介致します。
粉引きの鉢が欠けていたものを、金泥で仕上げられました。
穏やかな仕上げの形が、とても好印象です。
仕上げのタイミングもいいので、金の輝きが綺麗です。
粉引きなどのベージュ系の釉薬の器には、金がよく合います。
金というと派手なイメージがありますが、ベージュ系には馴染んで
程よい感じに落ち着きます。
Nさんは食器棚に金があると、とてもよいとおっしゃっていました。
それは金がただの金ではなく、一生懸命作業されて、修復が完成した器を
飾っている金だからだと思います。
Nさんは先日のブログでお勧めしました通り、この器を使ってみられた
そうです。
仕上げられた金泥は、何も変化がなかったそうです。
蒔くタイミングはよいと思いますので、このままお使い頂いて全く
問題ないと思います。
Nさんは既に1年のカリキュラムを終えられ、上級の技術に取り組んで
おられます。
そのような作品を完成されるのを、お手伝いするのが楽しみです。
直描きの魅力
NHK文化センター柏教室のMさんの作品をご紹介致します。
講座のカリキュラムで、蒔絵の練習として行っている「桜の花びら」を
描いたものです。
桜の花びらの形は欠けの形に近似しているので、実際の仕上げに近い
練習となります。
ですので直描きで描いて頂くのですが、直描きの魅力は筆の勢いがそのまま出る
ところです。
Mさんの作品はその魅力がとても良く出ています。
ご本人は塗り残しが出ているのを気にされていましたが、それも味わいに
なっています。
画像でご覧頂けるように、Mさんの作品は漆器になさっています。
練習としてはハードルが高いのですが、朱色の漆器に金泥の色が映えて
綺麗です。
同じ形を何枚かお持ちでしたので、それぞれで絵柄を変えて制作するのも
楽しそうです。
このカリキュラムでは練習する器をご用意頂いています。
陶磁器での制作を想定していますが、Mさんのように漆器にチャレンジしても
構いません。
受講中の方は、事前に心がけて制作する物をお探し下さいますようお願い
致します。
ペンケース
NHK文化センターユーカリが丘教室のSさんの道具入れを
ご紹介致します。
ペンケースを筆類や道具入れにされています。
恐らくデルフォニックスという輸入文房具店のロールペンケースではないかと
思われますが、デザインもオシャレです。
押さえがゴム式で、ピッチがいろいろあるので、様々な太さの道具に
対応してくれます。
また必要な道具が一覧出来るので、作業効率もよいと思います。
そもそも筆巻き式ですと、筆の穂先が痛まないのが最大のメリットです。
道具箱だと穂先を保護するキャップがきちんとついてないと、穂先が潰れます。
そういう意味でペンケースの流用は、とてもいいアイディアだと思いました。
他の道具と別持ちしても苦にならない、忘れ物をしない、という方は、是非
参考になさって下さい。
いさぎのよい線
NHK文化センター柏教室のMさんの作品をご紹介致します。
ヒビを止め、欠損を埋め、金泥で仕上げられました。
そもそもヒビの位置が、皿の真ん中に絶妙のバランスで入っています。
磁器ではありますが少々ゆらぎがあり、ぶどう蔓の絵柄も大胆に入った
お皿です。
それにいさぎよく線を引かれたのが、とてもマッチしています。
太さ、蒔くタイミングも完璧です。
仕上げられた器は、是非お使いになって頂きたいと思います。
お使いになりますと、ご自分の蒔かれた状態の確認が出来ます。
タイミングが早かったのか、丁度良かったのか、それとも遅かったのか、
などなど。
使う為に修復するのですから、完成で終わりではありません。
日常の使用に耐えられる状態なのか、お試し下さい。
まとめる
NHK文化センター柏教室のUさんの作品をご紹介致します。
縁に小さい欠けが複数あったものです。
これをまとめて口紅風に銀泥で仕上げて頂きました。
釉薬が弱くて、欠けがたくさん出来てしまう器はよくあります。
これをひとつひとつ独立して仕上げてしまうと、それらの主張が強過ぎて
目に障ってしまいます。
そのような時の対策として、口紅風に直すことをお勧めしています。
但しこの方法には、まず道具を自作して頂くことから始めます。
ですのでその手順から、教室でご相談下さい。
Uさんは、器自体の柄である桜の花びらにも銀泥を入れてみようとおっしゃって
います。
このような発展的なアイディアは、大歓迎です。
仕上げは自由に遊んで頂きたいと思います。
〈用語解説〉 口紅とは
陶芸用語で皿や鉢などの口縁に鉄釉を塗ったものをいう。
金繕いの教室では金属仕上げなので「覆輪」と称しています。