月別アーカイブ: 2014年9月
10月から始められる教室2014
清々しい秋晴れが続いています。
金繕いにチャレンジしてみませんか?
まだお申し込みが可能な教室をご案内致します。
よみうりカルチャー 川口教室
第2木曜日 10:30~12:30 10/9〜
NHK文化センター 柏教室(日•午前)
第3日曜日 10:00~12:00 10/19〜
NHK文化センター ユーカリが丘教室B
第3月曜日 13:00~12:00 10/20〜 残席あと僅か
NHK文化センター ユーカリが丘教室C
第4日曜日 10:00~12:00 10/26〜
よみうりカルチャー 大宮教室
第4月曜日 10/27〜
13:00〜15:00
15:30〜17:30
お申し込みお待ちしております。
春慶塗りの直し
春慶塗りは、その透明感のある塗面の美しさから人気があります。
ですので修復のご希望も多い漆器です。
ご紹介するのはNHK文化センターユーカリが丘教室のIさんの
作品です。
春慶塗りのお盆に、お湯のみの高台型に変色が生じていました。
それが塗り直しを行うことで、すっかりわからなくなっています。
修復前の画像を撮影させて頂けば良かったのですが、直してしまうと
どこに変色が生じていたのかわかりません。
特にIさんは作業が丁寧な方なので、これだけの成果が出たと言えます。
陶磁器の修復は金なり銀なりで仕上げられるので、はっきり場所が
わかりますが、漆器はわからなくなってしまいます。
漆器の修復は陶磁器とは違った難しさがありますが、基本の技術を
終えられた方には、是非挑戦して頂きたいと思っています。
代用成功
ナチュラル系の雑貨店で購入した掃除用ブラシを、拭き漆の
道具として使ってみました。
本来の漆刷毛は、下の画像のようなものです。
これは本漆を綺麗に均一に塗り上げられます。
しかし拭き漆では、それほど厳密でなくてもよいと考えました。
雑貨店で買って来た掃除ブラシは、面相筆がたくさん植わっている
ような形になっているので、根元がすけています。
これが本漆を落としやすいのではないかと思ったのですが、まさに
狙い通りでした。
本漆を扱われる方はご存知と思いますが、作業終わりに行う漆刷毛の
始末は、漆で刷毛が固まってしまわないように時間をかけて刷毛の根元を
ヘラで叩いて油で洗浄します。
これがなかなか大変な作業であることは勿論、また作業を始める時には
油を完全に落とし切っていないと、塗った漆が固化しなくなります。
このブラシはその手間を一気に解決してくれました。
あまり耐久性はないと思いますが、価格が安いので、それも気にならない
と思います。
小さな花穂
先日小さい葉まで穫って生藍染めに使ってしまった藍に、小さい
花穂が出てきました。
小さい葉ばかりで、かわいそうな感じになっていますが、花穂が
出ているのを見ると本当にたくましい植物だと思います。
原先生に差し上げた苗も生育が今一つだったとお聞きし、今年の
花から種を採取するのは断念しました。
藍の花は鄙びた風情があります。
今年はそれを堪能しようと思います。
ずつなし とは
NHK文化センター横浜教室で、横着するという意味で「ずつなし」
という言葉が話題になりました。
京都出身の母方が使う言葉だったので、私はてっきり関西地方の
言葉だと思い込んでいたのですが、古典文学にも出てくる言葉
だとか。
そして本来は「術無し」で、どうにもしようがないという意味
なのだそうです。
このように本来の意味とは変わった意味で使われている言葉は
たくさんあります。
私が最近とまどうのが「大丈夫です。」という若者言葉です。
all right ではなく、No thank you という意味で使われます。
さて皆様は、このようにとまどう言葉はありませんか?
徐々に均一化
今夏塗り直しに取り組んでいたレンゲですが、塗っては削りを
繰り返して徐々に均一になってきました。
またツヤが出過ぎているところに紙ヤスリをかけて、拭き漆をして
いく予定です。
ヒビが入っていたのを止めた部分ですが、馴染んでしまってほとんど
わからなくなりました。
少し手順が遅れたスプーンの方は、まだまだ斑状態ですが、
根気よく作業していればきっと綺麗になってくると思います。
生藍染め大会2014
生育がイマイチな藍ですが、台風襲来前の晴天のうちに染めを
決行しました。
切り戻しして、又伸びてきた藍から収穫した葉です。
小さい葉を入れても20g足らずでした。
これに先に収穫して乾燥していた葉を足します。
これが何gなのか量っておかなかったのですが、両方で合わせて50gくらいには
なっているのではないかと思います。
染め上がりです。
昨年のものより淡く染め上がっています。
手前の2度目の染液で染めたものは、ほとんどベージュといってもいい
くらい微妙な黄緑色です。
同じちりめんを去年染めたものですが、画像で見ても色が濃いのが
わかります。
藍自体の勢いが、染めの色にも反映される…草木染めの難しさであり、
面白さを体験出来ました。
今年の染め上がりですが、貝合せを載せる飾り座布団にする予定
です。
淡い色は茶系が多いハマグリ貝には、相性のいい色ではないかと
思っています。
紙ヤスリの傷
修復の過程で紙ヤスリはお使いにならないで下さいとお願い
しています。
それは以前のブログに書いたように、紙ヤスリの硬度が高く、
必ず器の方が傷つくからです。
画像中央に引っ掻き傷のように細かく入っているのが、紙ヤスリに
よる傷です。
このように傷ついた器をそのまま使用しますと、ここに汚れが溜まって
不衛生な状態になってしまいます。
この傷を直すことは、一般に出来ないと言われています。
なぜ使わないで下さいとお願いしているか、おわかり頂けたかと思います。
欠けたり割れたりした器を直すための金繕いです。
器に不要な傷をつけずに完成したいものですね。
銀泥仕上げ続々
NHK文化センター柏教室のHさんの作品をご紹介致します。
萩焼の湯のみです。
こちらは縁が点々と多数欠けていました。
これを埋めて銀泥で仕上げられています。
色味としてはもう少し硫化させたいところです。
悩まれたのが、内側にも伸びているヒビの線です。
口径が小さいので、筆を持った手が入りません。
さらに器自体のゆらぎが大きく、アップダウンを乗り越える
ような感じで筆を運ばなければならないのがさらに難しく
しています。
このような器の場合、筆を持つ位置を線を描きながら変えるという
ことが必要になります。
また手順も重要です。
もう一点は、潔く真ん中で割れた小皿です。
あまりに潔いので、銀泥で仕上げられた線が最初からあったかの
ようです。
釉薬が青味を帯びているので、もうすこし硫化を進ませることに
なりました。
どのような手順で筆を運ぶか、という質問は多い質問のトップと
言ってもいいくらい多いです。
やりやすい方法はご説明出来ますが、最終的には慣れがものを
言います。
コンスタントに仕上げを経験されるのが、何よりの上達方法かも
しれません。
描き戻す
NHK文化センター柏教室のYさんの作品をご紹介致します。
真ん中に写っている赤丸の中心より左よりにヒビが入っていたのを
修復されています。
この修復過程で、赤丸の中の金彩がとれてしまっていたのを、蒔絵として
描き足して戻されました。
金彩は焼成温度が低く活着が悪いので、日常に使用していても剥げて
しまうことがありますが、これと同様のことが欠損を埋める過程でも
起きてしまうことがあります。
Yさんの場合、これを最後に蒔絵することで繕いの完了とされました。
初見の場合、言われなければ気がつかないと思います。
Yさんはいろいろ仕上げられて、金繕いの成功は99%下地によると
実感されたそうです。
かなり高いパーセンテージですが、これは実感として当たっていると
思います。
そのくらいに考えて作業して頂くと、納得の仕上がりになること
間違いなしです。