月別アーカイブ: 2014年8月
完成しました
少し前に仕上げ直前の状態をアップしました猪口が完成しました。
決まった先はないのですが、参考作品として、どこかに展示して頂く
予定です。
特に見て頂きたいのが、右の欠けの仕上げです。
再度、仕上げ前の状態を見て頂きましょう。
欠けの右側が釉薬が薄く剥離しそうになっていて、新うるしが入り
込んでいます。
全体の形も四角く角が出ていて、あまり気に入った感じではありません
でした。
それで欠けの形通りではなく、仕上げてみました。
これは欠損が触ってわからないくらい平滑にしてあるので、可能な
仕上げです。
平滑にするには根気が必要ですが、欠損の形通りに仕上げるにしても、
形を変えるにしても、仕上げの自由度が上がるのです。
もちろん凸凹が残っていれば見映えが落ちますが、自由に出来る
という意味でも根気よく作業する意味があるかと思います。
それぞれ個性的
お皿に金箔を貼るカリキュラムですが、NHK文化センター柏教室の
生徒さん達の作品をご紹介致します。
まずはTさんの作品です。
数枚組の梅型のお皿です。
それぞれで貼り方を変える予定なのだそうです。
銘々皿として使った場合、とても楽しい作品になると思います。
もともとザラザラとしたテクスチャーがあるお皿なので、それも
いい表情になりました。
こちらはHさんの作品です。
大きめのお皿に、大胆に金箔を貼られました。
右角のバランスが絶妙ですが、これは黄金分割の効果と思います。
面積は大きくても、品よくまとまっています。
最後にMさんの作品です。
今までご紹介したのは全て陶磁器でしたが、Mさんは漆器にチャレンジ
なさいました。
陶磁器と違い漆器は後で削ることができないので、丁寧に作業する必要が
あります。
しかしシンプルな漆器が、ガラリと印象を変えました。
2枚で金箔の入れ方を変えたのも、とてもオシャレです。
柏教室の皆さんは少々複雑に入れ方を工夫されていたのが、印象的
でした。
それぞれ個性があって、拝見する方も楽しめたカリキュラムになりました。
煙る横浜
今日はNHK文化センター横浜教室の助手の日でした。
10月上旬並みに寒く、小雨が降った横浜。
ランドマークタワーが雲で霞んでいました。
暑さに疲れてはいましたが、ここまで涼しくなってしまうと
身体が驚いてしまいます。
皆様体調には気をつけて、教室にお出で下さい。
銀の硫化を見守る
よみうりカルチャー大宮教室のSさんの作品をご紹介致します。
陶器を2点、仕上げてきて下さいました。
こちらの大鉢は、縁が数カ所欠け、見込み(内側底)にヒビがあります。
欠けは外側のマット黒釉に合わせて硫化を進め、ヒビはもう少し硫化を
進めたところで止めの作業をする予定です。
内側の釉薬は若干青味がある白なのですが、仕上げ直後の白とは違いが
あります。
Sさんは毎日硫化による変化を観察し、よい状態を逃さず止めの作業を
行うとか。
そのお気持ちがあれば、きっと気に入った状態で止めることが出来ると
思います。
もう1点は黒釉に白化粧土が刷毛目で入っている湯のみです。
こちらも縁が数カ所欠損があります。
黒釉の部分と白化粧土の部分と、硫化の程度を変えるのを
オススメしています。
Sさんは基本の修復技術は難なくなさっておられますので、好みの
仕上げにするにはどうするか、というレベルになっています。
このあとも仕上げられる器が控えていますので、ぞくぞく完成品を
お持ち頂けるのを楽しみにしています。
台北 国立故宮博物院展の書
今日は台北 故宮博物院展に展示されていた書について、書きたいと
思います。
書の展示でメインなのが、蘇軾(そしょく)の「行書黄州寒食詩巻」です。
これは蘇軾が地方に左遷された際に、その辛い状況を訴えたものです。
字の大きさも大小まちまち、形も乱れ、縦に引いた線が物悲しく揺れます。
内容がわからなくても、蘇軾の心情が読み取れる気がします。
量的に展示が多いのが、米芾(べいふつ)です。
その流れるような書は魅力がありますが、安易な臨書は許さない
難しさがあります。
個性といえば、徽宗(きそう)オリジナルの「痩金体」の書です。
一目見てわかる、そして忘れられない字体です。
縦に長く華奢な感じは、繊細であったのではないかと性格の推察さえ
出来そうです。
しかし一筆一筆に迷いがなく、“自信”が感じられる王の字です。
私が気に入っているのは、高宗の「行書千字文冊」です。
現在私が臨書している王羲之の書を手本としているだけあって、美しく
品格のある文字です。
原一菜(いちな)先生から、書とは上手下手ではなく、心で書くもの
というお話を伺いました。
まさに蘇軾の心情を訴える文字がそれです。
まだまだ臨書するだけの私ですが、自分の字とは一体どんなもの
なのか考えていきたいと思いました。
台北 国立故宮博物院展
ようやく「台北 国立故宮博物院」展に行ってきました。
「翠玉白菜」の展示が終了してから、混雑が緩和されたと聞いては
いましたが、夕方16時半に本館から見学を始めました。
その後平成館に移動しましたが、詰まることなく余裕で見られる環境
でした。
第1会場に汝窯青磁が4点、他は書画が中心です。
第2会場には漆芸を含めて工芸品が多く展示されています。
中国の文化は日本の文化の源ですが、その形がどう変化しているのか。
また中国自体の文化が、どう変わっていったのか。
そう見ていくと、とても興味深い内容でした。
会期は9月15日(月)まであります。
よろしかったらお出かけ下さい。
藍の葉 乾燥しました
先日切り戻した藍の葉が、乾燥しました。
画像では色が出なかったのですが、ほんのり青いのです。
プランターの方も、新しい葉が出てきました。
来週は少し猛暑も収まるようです。藍の調子も戻るといいのですが。
ウレタン塗装と格闘中
ウレタン塗装が剥げかけたレンゲを、本漆での塗り直しにチャレンジ
していますが、以前のブログで斑になってしまったと書きました。
その後これは紙ヤスリで落としたつもりのウレタン塗装が取れきれて
ないことが原因とわかりました。
そこで再び紙ヤスリをかけ、拭き漆をしてみました。
しかしまだ斑です。
実は黒く見えるところが、本漆が木地にしみ込んでいるところなので、
全体が黒くならなければならないのです。
まだ薄茶に見えるところは、ウレタン塗装が残っているところという
訳です。
これでまた薄茶の部分に紙ヤスリをかけ、拭き漆をしての繰り返しをして
いくことで、均一の色になっていく予定です。
一部が剥げてしまっていたとはいえ、ウレタン塗装がしっかりいているの
には驚きさえ感じます。
木地から塗るのが一番とは思いますが、難儀しながらも日用品の補修が
出来るのも漆塗りの楽しいところだと思います。
鈴焼
和歌山県のおみやげで、「鈴焼」(香梅堂)というのを頂きました。
入手が大変難しいお菓子だそうです。
甘党なので、お菓子の頂きものはとても嬉しいのですが、貴重なもの
となると尚更です。
じっくり味わって頂こうと思っています。
貝合せ バリエーション
今日のNHK文化センター ユーカリが丘教室では、貝合せの
バリエーションとして一菜会オリジナルの技法での制作を行って
頂きました。
画像はFさんの作品です。
通常のハマグリ貝の他、ホタテ貝でも制作して下さいました。
白いきれいなホタテ貝でしたので、とてもきれいな仕上がりになっています。
夏のこの時期、東急ハンズなど様々なところで貝が入手しやすくなって
います。
貝によって表情が違いますので、凝り出すと色々欲しくなってしまいます。
何かお気に入りの貝を見つけられたら、入手されることをオススメ
致します。
さてFさんの作品は、作業が終わってから工程が少々足りなかったのが
判明しました。
しかしご心配なく。後日修正が出来ます。
気持ちを楽にして制作出来るのは、金繕いと同様です。
飾り物にご興味のない方もおられると思います。
しかし美しいものを愛でるのが、人としての余裕の部分のようにも
思います。
綺麗だなと思われましたら、まずはチャレンジしてみて下さい。
新しい世界が見えるかもしれません。