月別アーカイブ: 2014年2月
金泥 産地の違い
フィギュアスケート羽生結弦選手の金メダル獲得を祝福して、金泥に
ついてお送り致します。
金繕いの教室で教材としてお渡ししている金泥は、金沢産のものです。
これは意図して金沢産を使用しています。
金泥には京都産もありますが、金沢産との違いは粒子の細かさにあります。
金沢産は粒子が大小ランダムな感じ。
京都産は粒子が均一です。
これが仕上げになると違いが出てきます。
金沢産は不均一な粒子が野趣を出し、京都産は均一さが雅な感じになります。
問題は下地の新うるしの塗り方に影響を受けることです。
平滑に上手に塗れていれば上記の効果が出ますが、そうでなければ上手く
いきません。
特に粒子が均一な京都産は影響が強く出ます。
その点金沢産は、ランダムな粒子が下地の塗り方の不均一さをカバーします。
ですので教材として金沢産を使用しているのです。
詳細を申し上げれば、金泥はもっと色々な種類が販売されています。
上級になられた方は、金泥の産地、種類に凝られるのも面白いかも
しれません。
トクサ 絞るか否か
このところ続いた質問が、トクサを絞るか否かということに
ついてです。
トクサは刈り取ったあと、乾燥させれば道具となります。
使用する前20〜30分ほど水に浸けてから使用します。
水に浸しているので、使う時にはかなり水を含んでいます。
それで絞るか否かという疑問が生じるのだと思います。
答えは「絞らない」です。
水がしたたり落ちるのを適度にティッシュに吸い取らせますが、
完全に水分を取ってしまうまでは致しません。
適度に水気がある方が、削った新うるしが流れるからです。
つまり耐水ペーパーのように目詰まりが避けられるのです。
また流れた水に含まれる新うるしの削りカスで、削った量も
判断出来ます。
では具体的に吸い取らせる加減ですが、これはご自分が使いやすければ
よろしいかと思います。
これでなければという決まりはありませんので、いろいろ試してみて、
具合のよいところでお使い下さい。
仕上げてみてわかること
昨年の7月に開講した よみうりカルチャー川口教室ですが、
仕上げをされる方が出てきました。
そのうち1点をご紹介致します。
割れを接着して、欠損部を埋めて仕上げられました。
初めての仕上げですが、とてもきれいなラインが描かれていますし、
蒔くタイミングもとてもよいです。
ご本人としては、仕上げてみると、しっかり欠損が埋まっていない
のがわかってしまう。
下地の状態がいかに大切かわかった。
とのこと。
初心の方はどうしても早く仕上げをしたいというお気持ちが強く
あり、いまひとつの状態でも仕上げにチャレンジされる傾向が
あります。
しかし仕上げてみると金泥の反射で、埋め具合が足りないのがハッキリ
してしまいます。
そして「気に入らない」という結果に…
しかしこれに気づくのも大切なことだと思っています。
ですので仕上げてみたいとおっしゃる方には、やってみましょうと
お話しています。
本日の画題 レウィシア
本日の画題は「レウィシア」です。
スベリヒユ科の鉢花です。
なるべく描いたことのない花を選ぶようにしているのですが、この
レウィシアは見たのも初めての花です。
花はプリムラに似ているのですが、葉が全く違います。
多肉植物のように厚みがあるのです。
花屋さんの話だと、かなり丈夫で次々花が咲くそうなので、当分
楽しめそうです。
筆がやせる
筆の穂先がやせる、というのも多くご相談を受ける内容です。
原因は洗い方にあります。
薄め液の中にしろ、洗剤で洗う時にしろ、金具の部分で穂先を折って
しまうと、毛が切れ、やせていきます。
やせると当然筆として使いにくくなります。
ではどう洗えばいいのか。
以前にも筆の洗い方をアップしていますが、再録致します。
薄め液の中で泳がせるように洗ったあと、穂先に洗剤を含ませて、
爪でほぐすように洗います。
この時に毛を引っ張ってしまうと、やはり穂先がやせますので、
引っ張らないようにするのが大切です。
洗剤の泡に新うるしの色が出なくなったら洗い終わりです。
しかしそもそも作業の最後に筆を洗おうとすると、すでに硬化して
しまっている可能性が高いです。
その状態では少々洗ったくらいでは、硬化してしまった新うるしは
落ちません。
穂先が硬くなっていたら、15分から30分薄め液に浸してから洗剤で
洗ってみて下さい。
硬くなっているのをそのままにすると、筆の芯から硬い部分が広がり、
筆として全く用を成さなくなります。
筆は基本の道具です。
メンテナンスの方法は、是非習慣づけて下さい。
講座の記録
各カルチャーセンターでの毎回の講座内容を記録しています。
その日に行った内容、次回の予定、持参するものを記入しています。
自分の講座の他、原一菜先生の助手について行っている講座も合わせると
相当数の方にお会いするので、記録しておかないとならないのです。
持参する物はカリキュラム上必要な物ばかりでなく、お一人お一人の
進行状態に合わせてサンプルなど参考になるものも、しっかり記入して
忘れないようにしています。
メモは支度の時だけでなく、講座の進行手順の検討にも使いますので、
毎回の講座に必携の“相棒”です。
このノートを見ている時は、何やら確認中と思って下さい。
ガラスの素材
金繕いの教室では、ガラスの修復にもチャレンジして頂いています。
しかしガラスなら何でも大丈夫という訳ではありません。
一般的なソーダーガラスや、クリスタルガラスは、ほぼ問題なく修復
出来ますが、耐熱ガラスに関しては考慮が必要です。
耐熱ガラスには「ホウ酸」という成分が含まれているのですが、どうやら
この成分が修復の為の素材を受けつけにくいようなのです。
しかし養生に注意して修復されている方もおられますので、直したい
耐熱ガラスの器をお持ちの方は、一度教室でご相談下さい。
注) 修復後は耐熱容器としての使用は出来なくなります。
湯たんぽ
関東地方とは思えない吹雪。
皆様どのようにお過ごしでしょうか?
私はひたすら作業をしていましたが、じっとしていると
足元が冷えてしまうので、こんな時は湯たんぽが活躍します。
日本の方ならご存知でしょう。中にお湯を入れて身体を温める
道具です。
中の湯が冷えてしまったらお風呂の残り湯に足したり、洗い物に
使うことも出来ます。
エコな暖房器具ですね。
この雪の影響は数日続くと思われます。
どうぞ皆様お気をつけて。
砂子散らし
貝合せの他、他の作品作りで金箔の「砂子散らし」をなさる場合が
あるかと思います。
砂子用箔筒(砂子筒)という竹筒の先に金属のメッシュが張られたものに
金箔を入れ、画像手前に写っている箔用たたき筆で筒の中をかき混ぜるように
すると、メッシュ部から砂子が落ちてきます。
小さい作品では手元が見にくいのですが、ある程度大きな作品を作る場合には
筒内に金箔がたくさん入れられる利点があります。
しかしこのような専用の道具を用意しなくても、砂子散らしは出来ます。
茶こしです。
あまり目が細か過ぎない方がいいので、100円ショップの物で
構いません。
これに蒔筆に使っている平筆で十分です。
ところで金泥を散らせば、金箔と同様の砂子散らしになるのでは?
という質問を受けました。
金泥用の砂子筒がありますので散らすことは出来ます。
しかし金箔と違い、かなり肌理が細かくなります。
作られる作品に適当かどうかは、ご自身でご判断下さい。
Kawaii 日本美術
日本画専門美術館である山種美術館の「Kawaii 日本美術」展を
見に行ってきました。
子ども、生き物、小さい•ほのぼの•ユーモラスという3つのカテゴリーに
分け、時代や形式にとらわれずに作品を紹介しています。
そのせいか普段なじみのない作品に出会うことが出来、新しい発見が
ありました。
展覧会の目玉は伊藤若冲の「樹花鳥獣図屏風」ですが、お気に入りの
柴田是真、長沢芦雪などの作品もあり、充実の1日でした。