月別アーカイブ: 2013年10月
ベテランの味
NHK文化センター千葉教室のHさんの作品を、ご紹介致します。
Hさんは千葉教室開講からの生徒さんで、すでにベテランの
域に達しています。
たくさん欠損がある器なのですが、どれも仕上げがきれいに上がって
います。
Hさんは、かなり複雑に割れた器の修復にもチャレンジなさっています。
破片が一部なくなっているのを補う必要があり、難易度が高い
修復です。
こちらの完成も楽しみにしています。
藍 花が咲く
切り戻した藍が再成長してきた話を先日アップしましたが、
現在は枝それぞれに花芽がつき、咲き始めています。
決して派手な花ではありませんが、野趣に富んだ風情を
楽しんでいます。
つぼみの段階ではピンクがかっていますが、花は全て白でした。
春夏に比べて葉が大きくならないので、2回目の生藍染めの
タイミングを見計らっていましたが、量的には確保出来そうなので
来週の内に行う予定にしています。
(寒くなる前なら大丈夫なのだそうです。)
新芽を入れてしまうと緑味が強くなるということが分かったので、
なるべく下葉の方を使って染めるつもりです。
笠間焼
先週、益子焼と一緒に行った笠間焼のレポートです。
益子と笠間は車で1時間程の近さなのですが、訪れるのは
初めてでした。
この2つの窯元の違いは、民芸調の益子に対して、装飾性がある
ということでしょうか?
草花の具象的な絵付けがしてある作品が多いようです。
そんな中で偶然出会ったのが、金高実音世さんの個展です。
釉薬は、粉引き鉄釉の2色。
フォルムが気に入って、珍しく爆買いしています。
李朝を思わせる形態の鉢です。
釉薬はオリジナル調合だそうで、マットの焦げ茶色の鉄釉です。
料理が映えそうな釉薬と、少々高さのある高台で食卓に変化が
出そうなところが気に入りました。
恐らくヘラで削って出している筋が特徴的なコップです。
蕎麦猪口サイズなので、コップに限らず色々に使えそうです。
菊花型の小皿です。
裏面に脚がついていて、浮遊感があるところがミソです。
釉薬は上のコップと同じ粉引きです。
実は一番気に入っている高さ8.5cmほどの小さな花器です。
やはり李朝を感じる形が、この大きさの花器では珍しいと思いました。
釉薬は粉引きをエアブラシで吹き付けているそうで、かかった量の
違いでテクスチャーに変化が出るそうです。
ろくろの段階でこの形を作り出す技術にも、驚きました。
在廊されていた金高実音世さんご本人からいろいろお話を聞けた
のも楽しい出来事でした。
また作品に接する機会を楽しみにしています。
もうお一人、不思議な釉薬に魅せられて購入したのが、二階堂明弘さんの
飯碗です。
焼き締めの器ですが、錆のような表情から「錆器」と称されている
そうです。
輪島塗りの地の粉と漆をブレンドして作られる「錆下地」に
似ています。
器ではありませんが、大崎透さんの作品も入手しました。
「ちいさな動物園」というシリーズは、メディアにも取り上げられて
いるので、ご存知の方も多いと思います。
やまねです。
丸まって冬眠している姿を、焼き締めでざっくり作られています。
猫やりすなどから、ゴリラや象といった大型の動物まで、愛嬌のある
表情で並んだ様はなごみます。
ネットでもたくさん取り上げられていますので、ご興味のある方は
検索してみて下さい。
今回久しぶりに窯元に出かけて、作家さん達が新しい釉薬、表現方法に
チャレンジしているのを見られたのは大きな収穫でした。
教室に作家物の器を直したいと参加される方が増えているのですが、
近年素地、釉薬共、従来の知識では判断出来ない物が増えていると
感じていたからです。
常に勉強、勉強ですね。
◯笠間焼 情報
「ギャラリーロード」沿いにあるのが、新しいギャラリーやshop
「やきもの通り」や「陶の小径」にあるのが、古くからある窯元
と、分かれているそうです。
市川教室 無償提供品
本日はNHK学園市川オープンスクールでの講座日でした。
市川教室はBクラスに新規受講の方々をお迎えし、新しい
スタートを切りました。
市川教室は独自のルートがあり、金繕いの練習台になる陶磁器の
無償提供を可能にしています。
お好みに合う合わないがあるかと思いますが、カリキュラムに該当する
器がないとご見学になってしまうので、何らか題材がある方が
よろしいかと思います。
また教室のご好意で、他の教室へのご提供もOKとなりました。
直すものがない、あるいはこのような物を直してみたいという
ご希望がありましたら、ご相談下さい。
仕上げの努力
昨日に引き続きNHK文化センター ユーカリが丘教室の
生徒さんの作品をご紹介致します。
たくさん仕上げをしてきて下さったTさんの作品の中から2点
ご紹介致します。
とっくりの口縁が細かく、薄く割れていたものを修復したものです。
このように細かく割れていると、必然的に仕上げも複雑になります。
これを薄く手早く仕上げるのはかなり難しいので、ちょっとした
テクニックがあるのですが、Tさんは正攻法で仕上げられました。
こちらは欠けの修復です。
器のぽってりした感じに合った仕上げで、とても好印象です。
欠損の形自体は難しくはないのですが、Tさんは綺麗に仕上げる手順に
悩まれているようです。
欠損の戻し方、仕上げの基本は問題なくされているので、この点さえ
解消されれば自由自在に仕上げがお出来になると思います。
馴染ませる
先日に続きNHK文化センター ユーカリが丘教室の生徒さんの
作品をご紹介致します。
ご自身がポーセリンアート(西洋磁器上絵付け)をなさったお皿に
ヒビが入ってしまったのを、修復されました。
細かいニュウは見えなくなったのですが、どうしても横一文字に
入ったヒビだけは残ってしまいました。
優美な曲線の絵付けの中に直線が入ってくると、違和感が出るのは
否めません。
そこでご本人のポーセリンアートの腕前を生かして、ヒビの直しに
絵付けの意匠を取り込んで加筆して頂きました。
致し方ない欠損とは言え、ご本人にとっては不本意な状態なのですが、
事情を知らない方が見れば元からこのようなデザインだったかの
ように見えます。
何よりアップに耐える完成度の高さ!
洋食器の直しをされている方は、是非参考になさって下さい。
おむすび◯△
今日はNHK文化センター青山教室の助手をした帰りに
知人のお店にランチに行きました。
お店の名前が「おむすび◯△」と言います。
店名の通り、おむすびがメインのお食事が頂けます。
メインのおみすびは、白米か玄米で、中味はオススメから選びます。
お味噌汁に、おかずが2品。
画像に撮り忘れましたが、さらに焼き魚としてさんまを選びました。
かなりボリュームがあるように見えますが、消化のよい材料なので
来店されている女性の方々、皆様完食でした。
もちろんおむすびが絶品なのですが、おかずも多彩で楽しめます。
実は店主とは1/4世紀以上前からのおつきあいで、お店の器の
修復をお任せ頂いています。
先日納品した器を出して頂きました。
釉薬が薄く削げるように落ちた破損で、形が複雑でした。
青磁に合わせて銀で蒔絵をしています。
カウンター席が印象的な店内は、店主自らデザインしています。
店主は食育、建築の色彩設計も手がける多才な人物で、それが
店内、器、お食事にも見えます。
ゆったりとなごむ雰囲気に、美しい器、おいしいお食事…
外苑前にお出かけの時に、お立寄頂けたら嬉しいです。
私が出会った時からあこがれの存在である店主が、やさしく
迎えてくれると思います。
ただし店主が納得出来るクオリティを維持するために、ランチの
数には限りがあります。
あらかじめご予約下さいませ。