月別アーカイブ: 2013年10月
画題 ラペイロージャ
このところ手がまわらなくなっていたスケッチを再開しました。
本日の画題は「ラペイロージャ」です。
動きのある茎と可憐な花が魅力です。
しかし詳しい情報が入手出来ませんでした。
ヒオウギの仲間というくらいです。
長野県の片桐花卉園さんが生産しているのですが、地植えで育てている
そうで、花屋さんの話ですと今期最後の入荷になるだろうということ
でした。
花びらが6枚なのですが、五角形を形取っていて、なかなか雅な感じが
致します。
洋食器の修復
貝合せを制作して金箔を扱って頂くカリキュラムを組んでおります。
これは金箔が扱えるようになることによって修復の手段が増える
からなのですが、その代表が洋食器の修復と言えるでしょう。
昨年ご紹介した洋食器の修復が完成していますので、ご紹介したいと
思います。
左右の器で蒔き下の漆や、金箔の色が違います。
また欠損に合わせて地描きの方法も違います。
右のティーカップは口縁の金彩も修復し、欠け部の直しと馴染ませて
います。
いずれにしろ通常の金•銀泥の修復とは手順が違いますので、チャレンジ
される器に合わせてご説明したいと思います。
漆刷毛
漆刷毛とはその名の通り、漆を塗る為の道具です。
金繕いの作業では漆刷毛を使うことはありませんが、漆器の
塗り直しなどでは漆刷毛を使います。
画像は三分(幅約9mm)のものです。
切ってから長期間乾燥させた毛髪の中から真っ直ぐなものを選別し、
油抜きをした後に糊漆で固め、檜の正目の板で合わせて固く締め付け、
十分に乾燥してから鉋で整形し、最後に毛先を切り出して仕上げて
あります。
そうです。
漆刷毛の毛は、人毛です。
日本人女性の髪が最適と言われていましたが、昭和50年頃から日本産の
毛髪が入手困難になり、現在ではほとんど中国産毛髪で賄われていると
思われます。
細く柔らかいながらも腰が強い毛髪を使った漆刷毛は、明暦年間(江戸時代
初頭 1655〜1658年)に、初代泉清吉の考案と言われています。
東洋人の毛髪は、断面が正円と聞いたことがあります。
このようなところが、刷毛に適していたのでしょう。
実際使ってみますと、粘り気のある漆を均一に引き延ばしてくれるのは、
他の材質の刷毛にはない感触です。
お求めになっても、すぐに使うことは出来ません。
漆刷毛はまず仕立てることが必要です。
手順については教室でご説明致しますので、でんぷんのりと細めの凧糸を
持っておいで下さい。
参考 日本の美術 第451号 漆工品の修理
3回トライ
よみうりカルチャー大宮教室のSさんの作品をご紹介致します。
Sさんは今年の4月から始められましたので、これが初めての
仕上げになります。
Sさんは金よりも銀がお好みということで、初チャレンジでは
ありますが、銀で仕上げられています。
教室でご説明しておりますように、銀の仕上げの方が蒔くタイミング
が難しいのですが、とても上手くいっています。
これだけでも素晴らしいのですが、この状態までSさんは3回トライ
なさったそうです。
地塗りの段階での修正が一番簡単なので、納得がいく線が描けるまで
描き直されるのがよいのです。
それを実行して下さったSさんの努力に拍手です。
このあとも仕上げが出来る器が控えています。
陶器がお好きなので味のある作品が次々完成してくると思いますが、
今回の努力を続けて頂ければ上達も早いのではと楽しみにしています。
第3回生藍染め大会
天候とにらめっこしていた3回目の生藍染めですが、台風一過の晴天で
本日決行致しました。
紋を入れる為の絞りから、染めるまでの手順です。
①絞りを入れる位置を実際に祝儀袋を納めて決めます。
同系色で分かりにくいのですが、和紙を円形に切ったものを置いて
位置決めをしています。
②和紙を縫い付けます。
1mm程度の細かい目で縫うのがポイントです。
※画像は練習の時のものなので、生地が違います。
③縫い付けた糸を絞って、和紙、ウエス、ラップを重ね、糸を巻きます。
④絞ったところを水の中で揉んで、中に水をしみ込ませます。
(先に水が入っていることによって染料液が入らないそうです)
⑤染料液に浸けます。
⑥乾燥させます。
巻いた糸がほどけていて、嫌な予感がします。
しかし乾いてから糸を抜いた方が生地が傷まないので、生地が乾いて
くるのを待ちます。
⑦絞りを解く
円形になってないし、中まで染料液が染みてしまっています(涙)
完全な失敗です。
しかし失敗した場合は、刺繍をしてごまかしが利くそうです。
生地自体は綺麗な青に染まったのが、せめてもの救いです。
千葉教室受講の方々へ
NHK文化センター千葉教室受講の皆様へご連絡致します。
すでにご承知の方もおられると思いますが、来週29日に
2月分の振替授業がございます。
同じ月に2回講座があって、大変かと思いますが、
お忘れなくおいで頂きますよう、お願い致します。
NHK文化センター ユーカリが丘教室 展示作品
ストローで代用
筆のサックをなくしてしまうのは、よくあることです。
以前のブログでストローで代用出来ますと書きましたが、
実例をご紹介したいと思います。
普通サイズのストローの場合は、筆ごと入れてしまいます。
片方をテープで塞いでしまえば、抜けてしまうことはありません。
ブリックパックの小さいストローです。
これの場合は、適当な長さにカットすると…
筆先だけが納まるサックになります。
筆だけで道具箱に入れると、穂先が痛みます。
快適な作業の為には筆のコンディションは重要なので、筆を
洗ったあとは必ず穂先を整えてサックに納めることをオススメ
致します。
箔ハサミ カスタマイズ
はまぐり貝に金箔を貼る貝合せの制作の際に使って頂いた
箔ハサミですが、長さ10cmの小さなサイズの物もあります。
「切廻し」という小さくちぎれた箔を扱う時に使用するものです。
販売されている時点で先は丸く削られた状態なのですが、私はこれを
ピンセット状に尖った形に成形しています。
金属のピンセットを使っても作業は出来るのですが、竹製の方が
当たりがやわらかい気がします。
ところで金箔を箔ハサミでつかんだ時にくっついてしまう場合があります。
これは箔ハサミの先端に手油などが付着してしまっている為に起きる
ものです。
その場合には300番程度の紙ヤスリを間に挟んでヤスリがけしてみて下さい。
このブログを読んで下さっている方はお気づきかと思いますが、
そうです、私は形から入るタイプなんです。
何かと道具はせっせと入手致します。
面白い道具を手に入れましたら、ご報告したいと思います。
横浜教室 リニューアル
今日は原一菜(いちな)先生の助手として入っているNHK文化センター
横浜教室の日でした。
以前のブログに書きましたように横浜教室は10月からランドマークプラザに
移転し、リニューアルされました。
ぴかぴかのロビーです。
講座中の様子です。
原先生が進めてきて頂いた作業を、お一人お一人確認し、次の手順に
ついてご説明しているところです。
教室は窓があったランドマークタワーのように景色を楽しむことは
出来ませんが、流しやトイレが近く便利です。
今日から新規受講の方々をお迎えし、まさに心機一転の一日でした。
天候待ち
3回目の生藍染めには袱紗を染めようと決めて、白生地を購入
してきました。
端切れなので、お買い得品です。
これを持って原一菜(いちな)先生にご相談したところ、家紋を
入れる円形の白抜きを絞りで作ったらどうかとご指導頂きました。
端切れではありますが3枚取れるので、同じ色の合わせも出来ますし、
別の布と合わせるのも可能です。
しかし台風接近で天気が思わしくありません。
生藍染めは一気に乾かすのが大切なので、晴天の日に行うのが原則
なのです。
問題なのが、藍の状態です。
すでに花の時期は終了し、種を成熟させる段階に入っているので、
徐々に枯れていくと思われます。
台風の風で葉が痛むのも気になりますし、どこまで葉がもってくれるのか、
天気予報と藍のプランターを交互に眺めて気をもんでいます。
金繕いも漆の状態に左右されますが、草木を相手にする生藍染めも
同じように自然に影響を受けるのを実感しました。
しかしこれが本来の工芸であると思います。
化学的な物に慣れ過ぎてしまって、人間に合わせてくれるのが当たり前に
なっているところがありました。
いつも教室で「焦らずゆっくりやりましょう。」とお話していますが、
今それを自分に向かって言っています。