月別アーカイブ: 2013年4月
いつ洗う?
4月に入り、金繕いの各教室で新規受講者の方々をお迎えしました。
第1回目の講座では、ホツレの修復として新うるしの塗り方を
学んで頂きます。
そして大事なのが、筆の洗い方です。
このブログでも何度も説明していますが、意外にわからなくなって
しまうのが、薄め液で新うるしを洗い落としたあと、いつ洗剤で
洗うかのようです。
答えは“すぐ”です。
よく自宅に帰ってから洗いますとおっしゃる方がおられるのですが、
お帰りになってからだと、薄く穂先に残った新うるしは硬化して
しまっています。
ご遠慮なく教室の水道で洗ってお帰りになって下さい。
洗い方のポイントは、中性洗剤を穂先に含ませて、爪で中まで洗剤が
入るようにほぐしながら洗うことです。
問題は作業中にすでに穂先が固まってしまっていた場合です。
少々薄め液ですすいだだけで新うるしが取れない場合は、15分から
30分ほど薄め液に漬け込んで下さい。
そのあと中性洗剤で洗えば、元の通りになるはずです。
大量輸出
金繕いの工程で、和紙を使う場合があります。
先月文化庁が、ユネスコの無形文化遺産に和紙の登録を目指す
との報道がありました。
そこでかつて和紙が大量に輸出されていた、という話をお送り
したいと思います。
江戸時代末から明治時代にかけて欧米各地の万国博覧会に出展
された和紙は、種類の多様さと品質の高さが評価されて、さかんに
輸出されるようになります。
用途は様々。
タイプライター用紙、謄写版原稿用紙、宝石包装紙、コーヒー濾過紙
などなど。
いずれも和紙の薄くて丈夫な特性を生かしたものです。
その量は現在では考えられないくらい膨大なもので、横浜港 では生糸、
絹製品に続く輸出品として第3位の輸出量を誇っていたのです。
しかしこの状態も、明治34年(1901)をピークに減少していきます。
これは資本主義の進展とともに紙の需要が急増していくのに、
手漉きの和紙が対応しきれなくなってしまった為でした。
同時に国産の洋紙生産が軌道に乗り、輸入もされるようになって
しまうのです。
輸出用の和紙を載せた馬車が、横浜港の桟橋にたくさん並ぶ…
明治時代にそんな風景があったのです。
大は小を兼ねない
金繕いの教室で教材としてお配りしているトクサですが、よく似た
物に「大トクサ」「ジャンボトクサ」と言われるものがあります。
左が教材として使っているもの、右が大トクサです。
かなり太さが違うのがおわかり頂けると思います。
実は大トクサは花活けの材料として使われることが多く、花屋でも
手に入りやすいのですが、道具としてはイマイチなのです。
大きいので、これが使えたら仕事がはかどりそうなのですが、
あまり削れません。
入手されたらお使い頂いても構わないのですが、やはり普通サイズの
トクサには敵いません。
大は小を兼ねない、面白いものです。
男性陣の仕上げ
従来、金繕いの教室は女性がほとんどだったのですが、最近は
男性の受講者も多くなってきています。
今日はNHK学園市川オープンスクールの男性陣の仕上げを
ご紹介致します。
まずはTさん。
ヘレンドのウィーンの薔薇のカップです。
何度もやり直しをされたそうで、その努力の結果が現れた美しい
仕上げです。
小さいお猪口も、味のある線で魅力的に仕上げて下さっています。
そしてもうお一方。
大皿の直しで、距離も長く大変なのですが、器の大きさに負けない
よいバランスの線が描けていると思います。
仕上げのタイミングを悩まれたそうですが、やり直しをトライ
して頂いている器は、さらに完成度を上げて下さる思います。
男性はどなたも研究熱心で、鋭い質問が飛ぶこともしばしばです。
講師の私もとても刺激になります。
お二人とも続々完成して下さるのを楽しみにしています。
チューブのキャップが開かなくなったら
金繕いの教室で使っている新うるしのチューブが開かなくなった
場合、一番安全•簡単なのが、熱湯に浸けることです。
適当な器にキャップを下にして浸けるだけです。
1分程で、あっさり開いてくれるはずです。
その際には一番強度があるチューブの肩の部分を持つのが
ポイントです。
くれぐれも口にくわえて歯で噛んであけたりしないで下さい。
チューブをねじ切ってしまう方が多く、大変危険です。
では、そもそも開かなくならないようにするには 、どうしたらいいか。
ひとえに口金•キャップをきれいにしておくことに尽きます。
1日の作業が終わって仕舞う時、ひと手間かけてみて下さい。
チューブを立てて保管しておくのも効果があります。
柏教室 満席になりました
NHK文化センター柏教室ですが、お陰さまで満席に
なりました。
引き続きキャンセル待ちをお受けしております。
またNHK文化センターユーカリが丘教室Bも残席が少なく
なってきております。
受講をご検討の方は、お早めにお申し込み下さいませ。