月別アーカイブ: 2013年3月
薄め液は薄めない
各カルチャーセンターの金繕い教室でお使い頂いている
薄め液の使い方を誤っていた方がおられましたので、
改めてご説明したいと思います。
右端にあるのが、薄め液のボトルです。
教室の初回にお渡しし、半量を道具の洗浄用に別の瓶に分けて下さいと
お願いしています。
この際、薄め液を水で薄めることはありません。
薄め液と水は混ざることはなく、分離してしまいます。
さらに洗浄効果も減じます。
また新うるしを水で希釈することもありません。
新うるしも又、水と混ざることはありません。
このように全ての技術•材料を通じて、水で薄めるということは
ありませんので、ご注意下さい。
けやきの様子見
あっという間に満開を迎えた桜ですが、寒さがぶり返して花の
持ちがいいようです。
この季節、衣替えのタイミングが難しいですが、私はけやきの
葉の出方を見ています。
けやきはまず画像のように枝の先に新芽を出します。
この葉が偵察隊なんですね。
寒の戻りがあるようなら、この状態のまま待機します。
つまりけやきがこの状態ならば、寒い日がまだあるということ
なんです。
もちろん日当りがよいなど環境が良い場合は別ですが。
幹近くまで葉が出てきた木が大多数になったら、もう安心です。
冬の上着はクリーニングに出して、春物の服に衣替えです。
必須道具 メラミンスポンジ
金繕いの仕上げの前に、洗剤での洗浄だけでなく、メラミン
スポンジでの洗浄もお願いしています。
白くて硬いスポンジが、メラミンスポンジです。
「激落ちくん」などの商品名で販売されており、100円ショップ
でも取扱いがあります。
使い方は水を含ませて絞ったあと、こするだけ。
洗剤はいりません。
作業後の汚れも落ちますので、是非お求めになって教室にお持ち
下さい。
ご家庭のお掃除にも便利です。
ところで仕上げ前に洗浄するのは、なぜか?
一生懸命作業してきて頂いた器には、新うるしの活着を妨げる油分が
付いている可能性があります。
それを落としてきれいにするためです。
洗浄した器は、布製のふきんで拭かないで下さい。
埃の付着につながります。
埃が仕上げ面についていると、埃の形に仕上げが盛り上がって
しまいます。
原則、自然乾燥でお願い致します。
注:エコロジーの立場から食器洗いに洗剤を使われない方も
おられるかと思いますが、仕上げのためには必要な行為です。
ご理解下さい。
花散らしの雨
今日はNHK文化センター横浜教室の助手の日でした。
午前中真冬並みの寒さの中、雨が降っていました。
ランドマーク周辺の桜はまだ残っていましたが、この雨で
だいぶ散ってしまうでしょう。
出会いあり、別れありの春です。
完成しました
よみうりカルチャー大宮教室のYさんの作品をご紹介
致します。
Yさんは、なかなかこだわり派で、下地がしっかり出来る
まで、じっくり作業されました。
他にもたくさん仕上げて頂いたのですが、これらは少々修正
して頂いています。
実は金で仕上げると、下地の凸凹がハッキリと出てしまいます。
ですので下地をきれいにしておくことが、美しい仕上げを作る
と言っても過言ではありません。
そういう意味でYさんが下地の完成度にこだわられたのは、とても
大切なことなのです。
Yさんの作品は今後も続々完成して行きそうなので、楽しみに
お待ちしたいと思います。
森のカフェ
千葉県市原市にある“cafe のっぽ 141”にランチに出かけました。
雑木林の中、青い瓦屋根の木造家屋が現れます。
まさに隠れ家ですね。
オーナー自ら改装されたそうですが、回り廊下が開放的なテラスに
なっています。
天井を取り払った高い天井が、気持ちの良い店内です。
店内にディスプレイされた骨董なども心がなごみます。
ランチは、野菜たっぷりのグラタンを頂きました。
素材を楽しむナチュラルな味で、ファンが多いのも頷けます。
「別腹」で、ケーキも。
奥様が焼く天然酵母のパンも絶品です。
お帰りに是非お求め下さい。
チューリップ•バブル
最近チューリップの花活け、スケッチをしたので、チューリップに
関する話をアップします。
タイトルにある『チューリップ•バブル』ですが、チューリップの
花とバブル景気というイメージが違う言葉が合わさっていると思われ
ませんか?
実はこれが1637年にオランダで起こった世界最初の経済事件なのです。
オスマン•トルコからオランダに伝わったチューリップは、最初
植物愛好家の間で高値で取引されますが、これが元手を持たない
庶民も巻き込んで行きます。
そして球根1個で馬車24台分の小麦、豚8頭、牛4頭、ビール大樽
4樽、数トンのチーズ、バター2トンが買えたという、途方もない価格
までつり上がった揚句、突然急落します。
私が興味を持ったのが、取引の為のパンフレットに掲載された絵です。
(球根で取引されたので、どんな花が咲くかは絵で確認したのです。)
この絵は最も高値で取引された『センベル•アウグストゥス』と
名付けられた花です。
赤(実際は紫)と白の縞模様が印象的です。
これら斑入りの花は当時はブレーキングという突然変異によるものと
されていましたが、20世紀になって球根がウイルスに感染してモザイク病
という病気に罹患していたものと解明されています。
リアルなボタニカル•アートが“妖しい”魅力を放っていますが、品種改良
で安定した状態にあるものではなく、病気によって作られたものなので、
まさにバブルのように消えてしまった花なのです。
calla カラー
昨日のお稽古でコデマリ、フリージアと一緒に花活けした
カラーです。
写真家ロバート•メイプルソープ風に1輪だけセピアカラーで
写真撮影してみました。
改めて調べてみて、花びらだと思っていた漏斗上に巻いた部分が
“苞”と呼ばれる蕾を包んでいた葉の変形したものだとわかりました。
その名も“仏炎苞”。
花は苞の中にある黄色の軸(花序軸)に密集して咲くのだとか。
モダンな形状がとても好きな花です。
花活けの際には、茎の曲線と苞の角の向きを考えて活けていきます。
ちなみに形から想像がつくかと思いますが、水芭蕉も同じサトイモ科
です。