もし筆運という言葉があるのなら、私は少々筆運がないのでは
ないかと思っています。
下の画像は金繕いの仕上げに使っていたコリンスキー(テン毛の
最上級のもの)の筆ですが、見事に3つに割れてしまっています。
筆は穂先が命ですから、このように割れてしまっていては
用を為しません。
これは毛の束のまとめる方向を逆にしてしまったと思われます。
コリンスキーはシベリアに生息しているテンだったはずなのですが、
近年カナダで飼育されるようになり、その品質が下がったと聞いて、
私の筆運が悪いばかりではないと胸をなでおろしてはいます。
ところで穂先には水毛と呼ばれる透き通った部分があります。
このわずか2mmほどの部分が、筆の利きを左右してるのです。
上の画像は習字の筆ですが、先にしっかり水毛があります。
これが摩耗してしまったら、篆書体など穂先がなくても
書ける書体用にします。