金繕いの教室で質問が多いことの一つが、蒔筆の扱いについてです。
仕上げの作業のあとは綺麗に払う程度で、洗う必要はありません。
金•銀泥で筆を分けることもないのですが、気にされる方は
分けておられます。
あらかじめご依頼頂ければ教室で販売も致しますが、もしご自分で
購入されるのでしたらデザイン用の平筆をお求め下さい。
蒔き放ちの技法の場合、まだ柔らかい漆の上に金•銀泥を蒔きますので、
羊のような柔らかい毛の筆が必要です。
また平筆の方が、作業効率がいいと思います。
ところで冒頭で洗わなくてもよいと書きましたが、これはあくまでも
漆や金•銀泥で汚れなかった場合の話です。
もし仕上げの作業の際に漆などがついてしまった場合は、薄め液で
洗ったあと中性洗剤で洗浄して下さい。
このところ漆や金•銀泥で汚れたまま、コテコテに固まってしまった
筆で仕上げをされ、芳しくない結果(全体がマットになり、ゴミが
入り込む)になっておられる方が数人見受けられました。
せっかく頑張って仕上げまできたのに、もったいないことです。
蒔筆は特に清潔さが肝心です。
洗ったあともゴミが付かないように工夫して保管して下さい。
今、このブログを読んで、ご自分の蒔筆がコテコテに固まっている
ことに気がつかれた方!諦めるのは早いです!
その筆をしばらく薄め液につけておいて下さい。
15分から30分も浸けますと、固まっていたのがゆるんできます。
爪先で汚れ、漆の固まりをほぐし落として下さい。
(この時穂先を引っ張らないことがポイントです)
その後、中性洗剤で洗って下さい。
筆が復活致します。