月別アーカイブ: 2012年11月
ヒイラギ
昨日お稽古してきた花活けです。
真にニホンヒイラギ、体にバラ、留がスターチスで
クリスマス気分の合わせです。
まだまだな腕前ですが、アップしてみました。
ところでヒイラギというと、クリスマスに使われるのは赤い実を
つけるセイヨウヒイラギで、モチノキ科モチノキ属です。
この花活けに使ったのはモクセイ科モクセイ属のニホンヒイラギです。
葉の形はそっくりですが、実の色の他、葉の付き方が違います。
セイヨウヒイラギは互生といって、左右交互に葉が付きます。
ニホンヒイラギは対生十字といって、左右対に付き、次の段は90度
回転して付きますので、上から見ると十字の形になります。
こんなことを理解して描きますと、リアルなスケッチになると思って
います。
しかしヒイラギの葉の刺は、痛い!
邪気の侵入を防ぐ魔除けとされたのが、よくわかります。
割る? 割らない?
割れてしまいそうな深刻なヒビの場合、いっそ割ってしまった方が
いいのでは?とご相談を受けます。
このような深刻な状況であったとしても、割らずにヒビとして
修復しますとお答えしています。
金繕いの工程としてはヒビの作業の方が容易ですし、養生を工夫
すれば問題ありません。
どうぞ無理して割らずに、そのまま教室にお持ち下さい。
初心者の内はご自身で判断されるより、まずご相談頂ければ
幸いです。
絶妙!
大宮教室15:30~クラスのAさんの作品をご紹介致します。
初めての仕上げです。
ひびの直しですが、器の柄に絶妙にラインが入っています。
新たな魅力が加わるのが金繕いのおもしろいところですが、
Aさんの作品は好例と言えます。
少々表面の欠損が埋まりきっていなかったところが、仕上げをする
ことで明らかになりましたが、Aさんはよい教訓として下さるとの
こと。
次回仕上げの線を修正して、より完成度を上げる予定です。
簡易ムロ
金繕い教室の教材としてお出ししている「新うるし」は、
ムロと呼ばれる環境に置かなくても硬化する漆です。
しかし冬の低温低湿では、明らかに硬化が遅くなります。
一般家庭では専門家のようにムロを設えることは難しいですが、
プラスチックケース、タッパ、水切りかごを利用して簡易な
ムロを作ってみましょう。
器を桟で高上げし底に濡らした布を置けば、適当な環境が得られます。
ただし長期間入れっぱなしにすると、カビが発生するなど不衛生に
なりがちです。
適宜ケース内を洗浄して下さい。
またここまでの物を作らなくても紙箱に入れ、テレビの側など暖かい環境に
置くだけでも違います。
(ほこり除けにもなります。)
ところで電子レンジにかけたら乾燥するか?というお問い合わせを頂き
ましたが、新うるしに関して検証しておりませんので、なさらないよう
お願い致します。
アネモネ
本日の画題はアネモネです。
この花は光に反応して開くようで、明るくなると一気に咲きました。
ところで「秋明菊」もアネモネと同じキンポウゲ科です。
古い時代に中国から渡ってきたそうで、日本名に菊がついている
ところに由来を感じます。
アネモネに比べて繊細な姿が、日本人に好まれるのでしょう。
加筆する
ユーカリが丘教室K.Kさんの作品をご紹介致します。
染付の大鉢です。
実は器の内側に目立つ疵があるのですが、疵の形が美しくないので、
器自体にある葉の形を使って隠すことにしました。
金繕いとしては疵の形を尊重して直すのが本分ではありますが、
どうしてもままならない場合もあります。
その場合は器自体の柄に溶け込ませるようにするのが、一番やりやすい
方法です。
また葉の大きさが大きいので、蒔絵をする際ひと工夫しています。
ヒビを金で蒔絵していますが、それを枝に見立てて、自然な形で葉を
レイアウトしましたので、K.Kさんご本人も納得の出来になりました。
このあとは葉の形を若干修正し、葉脈を加える予定です。
銀が硫化して変色してくると、より器に馴染むでしょう。
高い要求品質
ユーカリが丘教室のKさんの作品をご紹介致します。
Kさんは細かい所までじっくりご覧になり、高い完成度を求めて
おられます。
この器もKさんには不本意な仕上がりなのですが、画像を撮らせて
頂きました。
画像ではなかなか伝わりにくいと思いますが、蒔絵のタイミングが
とてもよく、きれいな光沢が出ています。
Kさんのように要求品質の高い方がおられますと、教える側も身が
引き締まります。
金繕い? 金継ぎ?
私共一菜会では、お教えしている陶磁器の修復を“金繕い”と
称しております。
これは古い時代から使われている言葉であり、正式名称と考えて
いるからです。
“金継ぎ”と称している場合もありますが、これは近代の名称と
思われます。
言葉は違いますが、同じ陶磁器の修復であることに変わりはありません。